国内貿易・海外貿易・三国間貿易
international trade
国内の貨物(内国貨物)を海外に送り出す輸出と外国の貨物(外国貨物)を日本に引き取る(輸入)、海外から海外へ貨物を販売する三国間取引があります。貿易取引を専門に行っている商社にはこれらの商品知識・人脈・国際物流知識・国際条約や国内法規、あるいは税金について高い知識を持ち語学力を駆使して国際取引を行うことが期待されています。それにはたくさんのリスクと専門知識が必要とされますので、適正な知識を身に着けることが必須となります。
貿易条約
貿易に関わる各種条約と法令
世界では国によって異なる法律が制定され、また国外の企業を一方の法律で罰することはできません。それぞれの国が異なる常識と商習慣によって取引を行っていては国際商秩序が維持できない為、他国間でルールーの取り決めを行っております。そのルールを条約と言います。条約には罰則がない為、その条約に基づき各国で違反者への罰則など法律を制定しています。
貿易に関わる主な国際条約
・モントリオール議定書 特定フロンの禁止
・バーゼル条約 有害廃棄物の移動の制限
・ワッセナーアレンジメント 通常兵器不拡散条約
・ワシントン条約 絶滅危惧種の動植物保護
・その他FTA Free Trade Agreement
国内法規
関税法・関税定率法・輸出貿易管理令・外為法
他法令
米国法・消費者表示法・銃刀法・麻薬取締法・植防法・食品衛生法・薬事法・毒物劇物取締法・化学物質に伴う法律・バーゼル法
交易条件
INCOTERMS (International Commercial Terms)
「インコタームズ(Incoterms/International Commercial Terms)」とは、国際商業会議所(ICC)が貿易取引における費用負担・範囲などの取引条件を定めた国際規則です。 貿易取引条件とその解釈の国際規約を簡略化して表した用語で,1936年に初めて発行されたこの規約は、国際貿易取引において誰が何に責任を持つかを定義した11の規則で構成されています。
インコタームズ 2020 11種類の名称
あらゆる輸送手段に適した規則
EXW | Ex Works (insert named place of delivery) | 工場渡し(指定引渡地を挿入) |
---|---|---|
FCA | Free Carrier (insert named place of delivery)r | 運送人渡し(指定引渡地を挿入) |
CPT | Carriage Paid To (insert named place of destination) | 輸送費込み (指定仕向地を挿入) |
CIP | Carriage and Insurance Paid To (insert named place of destination) | 輸送費保険料込み (指定仕向地を挿入) |
DAP | Delivered at Place (insert named place of destination) | 仕向地持込渡し (指定仕向地を挿入) |
DPU | Delivered at Place Unloaded (insert named place of destination) | 荷卸込持込渡し (指定仕向地を挿入) |
DDP | Delivered Duty Paid (insert named place of destination) | 関税込持込渡し (指定仕向地を挿入) |
船舶及び内陸輸送に適した規則
FAS | Free alongside Ship (insert named port of Shipment) | 船側渡し (指定船積港を挿入) |
---|---|---|
FOB | Free on Board (insert named port of shipment) | 本船渡し(指定船積港を挿入) |
CFR | Cost and Freight (insert named port of destination) | 運賃込み (指定仕向港を挿入) |
CIF | Cost Insurance and Freight (insert named port of destination) | 運賃保険料込み (指定仕向港を挿入 |
各条件の費用負担と危険の移転時点
売主(輸出者)が指定した自社の工場・倉庫において、商品を買主(輸入者)側に渡し、その後の輸送に関するリスク・費用は、すべて買主(輸入者)が負担する条件です。 売主(輸出者)は引き取りの車両に積み込むことはせず、輸出通関も行いません。積み込み作業における危険負担も買主(輸入者)側にあります。
輸出地の指定場所にて、買主(輸入者)が指定した運送人に商品を引渡した時点で、売主(輸出者)から買主(輸入者)へ危険負担・費用負担が移転する条件となります。 但し、引渡し場所が売主(輸出者)の施設内であった場合は、積み込みまでの責任を負いますが、それ以外の場所の場合、売主(輸出者)側は荷降ろしなどの責任を負いません。 輸出通関手続きは、売主(輸出者)が手配して行います。
CPTは、輸出地において売主(輸出者)が指名した運送人に商品を引き渡した時点で、売主(輸出者)から買主(輸入者)へ危険負担が移転する条件です。 ただしCPTの場合、引き渡し義務が完了した後、指定仕向地までの輸送費用は売主が負担します。また、輸出通関手続きも売主が手配して行います。
CIPもCPTと同じで、輸出地において売主(輸出者)が指名した運送人に商品を引き渡した時点で、売主(輸出者)から買主(輸入者)に危険負担が移転する条件ですが、 指定仕向地までの輸送費用だけでなく、保険料についても売主(輸出者)が負担します。CIPも輸出通関手続きは、売主(輸出者)が手配して行います。
DAPは、輸入国の指定仕向地にで、輸入通関前の商品の引き渡しの際に、荷降ろしの準備ができた(船上など)輸送手段の上で、危険負担・費用負担が買主(輸入者)に移転する条件。 その為、荷降ろし以降のリスク・費用は買主(輸入者)が負うことになります。DAPの場合、輸入通関手続きは、買主(輸入者)が手配して行います。
DPUは、輸入国の指定仕向地で、商品の荷降ろしを行った後、危険負担・費用負担が買主(輸入者)に移転する条件です。 荷降ろし以降のリスク・費用を買主(輸入者)が負うDAPとは異なり、売主(輸出者)が荷降ろしまでのリスク・費用を負担するため、DAPよりも売主の負担範囲が広い条件と言えるでしょう。 輸入通関手続きは、買主(輸入者)が手配して行います。
DDPは、輸入国の指定仕向地での輸入通関後に、危険負担・費用負担が買主(輸入者)へ移転する条件です。つまり、輸入通関手続きの費用や関税、その他の税金も売主(輸出者)の負担になります。 輸入国内での通関や輸送費用も売主が負担する条件は、このDDPだけです。
FASは、指定船積港で本船の船側に商品を置いた時点で、売主(輸出者)の引き渡し義務が完了したと見なされ、その時点から一切の危険負担・費用負担が買主に移転するという条件です。 輸出通関手続きは、売主(輸出者)側で行われます。
FOBは、指定船積港で本船の船上に商品を置いた時点で、売主(輸出者)の引き渡し義務が完了したと見なされ、その時点から一切の危険負担・費用負担が買主に移転するという条件です。 FOBも輸出通関手続きは、売主(輸出者)側で行われます。
CFRは、売主(輸出者)からの商品の引き渡し場所、危険負担の範囲はFOBと同じですが、指定仕向港までの商品の運送費用は売主(輸出者)が負担するという条件です。 貿易実務では「C&F」正式名称は「CFR」になります。
CIFは、売主(輸出者)からの引き渡し場所、危険負担の範囲はFOB・CFRと同じですが、指定仕向港までの商品の運送費用と保険料を売主(輸出者)が負担するという条件です。 なお、FAS、FOB、CFR、CIFの4つの条件は、現在主流となっている「コンテナ船」での船舶輸送ではなく、コンテナでは対応できない形状のものを運ぶ「在来船」での輸送を対象としています。詳しくは、下記関連記事をご覧ください。